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August 16, 2008

バリ島芸術をつくった男―ヴァルター・シュピースの魔術的人生

ヴァルター・シュピース (Ubud,Bali)

バリの芸術、芸能に多大な影響を与え
後年バリの代表的な観光資源となったケチャを創始した
ドイツ人画家ヴァルター・シュピース

現在バリに残された彼の絵は
ウブドのアグン・ライ美術館にある
「チャロナラン」という題の一枚

アントニオ・ブランコと共に
ウブドをこよなく愛した画家


バリの人々にケチャや新しい絵画手法を教えたシュピースは
最良の隣人として扱われていた

ヴァルター・シュピースの本を発見!

バリ島芸術をつくった男―ヴァルター・シュピースの魔術的人生 (平凡社新書)
東洋と西洋の出会い, 2004/9/18


内容

バリを訪れた人々を惹きつけるバリ絵画
ケチャ・ダンス、バロンとランダの闘争を中心にした呪術劇チャロナラン…

これらはロシア生まれのドイツ人がバリ人と共につくったものだった

彼は自ら絵を描き
写真を撮り
チャーリー・チャップリン、コバルビアス、ミード、ベイトソンらの案内役をも務めている

そして、日本軍の爆撃により四十七歳で不思議な生涯を閉じた

最良のものをバリに捧げた男の人生をたどり
“美と祝祭の島”“陶酔の島”の秘密に迫る

あの有名なケチャダンスは
バリ島古来のものではなく
ある西洋人がバリのダンスをアレンジして作り上げた形式である

この書で取り上げられるドイツ人ヴァルター・シュピースこそがその人である





シュピースはケチャ以外にも
バリ絵画に西洋の画法や主題設定を持ち込んで新風を吹き込み
西洋へのバリ文化の紹介に尽力してバリ観光ブームを作り上げるなどして
硬直したバリ文化の再生に大きな功績を残した

バリ文化はバリの魂を失わずに西洋の文化を取り入れることによって
西洋人受けする文化となり、現在の観光地バリの基礎となった

それは当時進行していた帝国主義
植民地主義の流れと平行する
西洋と東洋の出会いの一つであった

シュピースはバリ文化を理解し
愛することにより
バリ文化が西洋とそして時代と協調して再生する道筋を作ることに成功した

バリ文化とシュピースの関係は東洋における西洋の東洋の受容
伝統と文化の再生といった大きな物語と通じるものを持っている

西洋の受容という問題に関しては
日本の近代化に比肩する成功例といえるのではないだろうか


悲劇の運命背負う画家

「バリ絵画に革新をもたらした画家
ヴァルター・シュピースの生誕から
悲劇的な死までをたどる浩瀚な伝記である

絵画のみならず音楽、映画に生きた彼の人生は
戦間期の芸術動向を知る貴重な情報にあふれている

著者が自負するように本書は世界最初のシュピースの評伝であり
急展開する世界情勢の中にあった彼の内的な軌跡が
書簡とインタビューをもとに丹念に描き出されている


(……)支配する者とされる者に世界が厳しく分断された時代に
芸術はもとより愛と情熱と快楽を大切にしながら
人種主義や因襲とは最も遠く離れて分け隔てなく人間と接し
バリ人にも慕われた孤独なコスモポリタンの姿が心を打つ

http://www.bunyu-sha.jp/
絵のカラー写真が幾つか紹介されている


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